記憶にはどんな種類がある?感覚記憶から長期記憶まで図解

明るい書斎で、記憶や学習について本を読みながら話し合う親子

記憶と学習のコラム

記憶にはどんな種類がある?感覚記憶から長期記憶まで図解

さっき聞いた言葉と、昔の思い出。
同じ「記憶」でも、働き方には違いがあります。
身近な例と図解で、記憶の種類を整理しましょう。

記憶の3段階長期記憶の種類タイピングとの関係
記憶の分類図を見る

まずは全体像から

記憶は、2つの見方で整理できる

覚えた電話番号を数秒後に忘れたり、子どものころの出来事を思い出したり。私たちが「記憶」と呼ぶものには、いくつかの働きがあります。

どのくらいの間、覚えておく?

時間で見る分類

感覚・短期・長期記憶

見聞きした情報が一瞬残る段階から、長く保たれる記憶までを整理します。

何を覚えている?

内容で見る分類

知識・出来事・技能

長期記憶の中でも、言葉の意味、体験、身につけた動作は性質が異なります。

記憶の種類は、見る角度で変わります。 感覚記憶・短期記憶・長期記憶は、情報をどのくらい保つかに着目した分け方です。一方、意味記憶・エピソード記憶・手続き記憶は、覚えている内容や働きに注目しています。

時間で見る記憶の種類

感覚記憶・短期記憶・長期記憶の違い

まずは、覚えておける時間の違いから見てみましょう。心理学では、感覚記憶・短期記憶・長期記憶という区分が、記憶を説明する古典的なモデルとして知られています。[1]

感覚記憶、短期記憶、長期記憶を左から並べた図。見聞きした情報、一時的に保つ情報、長く保つ情報の違いを示す。 感覚記憶、短期記憶、長期記憶を縦に並べ、それぞれ身近な例を示した図。
情報が必ず一方向に移るという意味ではありません。分類のイメージをつかむための図です。
01感覚記憶

景色や物音など、感じた情報がごく短く残る働き。多くはそのまま消えていきます。

02短期記憶

電話番号を聞いて、入力するまでの間だけ覚えておくような、一時的な保持を指します。

03長期記憶

言葉の意味や経験、身につけた技能などが、比較的長い期間にわたって保たれる記憶です。

短期記憶と長期記憶の違いを詳しく知りたい方は、短期記憶の解説記事も参考にしてください。

これは記憶の古典的な整理方法です。実際には、注意の向け方や、すでに持っている知識なども関わり、記憶が単純な一本道で作られるわけではありません。

内容で見る長期記憶

長期記憶には知識・体験・技能の違いがある

長期記憶は、単に「長く覚えていること」だけではありません。言葉で説明しやすい記憶と、行動や反応に表れる記憶などに分けて考えられます。[2][3]

長期記憶から宣言的記憶と非宣言的記憶に枝分かれする図。宣言的記憶には意味記憶とエピソード記憶、非宣言的記憶には手続き記憶のほかにプライミングや条件づけがある。 長期記憶を宣言的記憶と非宣言的記憶に分け、意味記憶、エピソード記憶、手続き記憶などの例を縦型で示した図。
これは長期記憶の代表的な分類です。種類は独立して存在するのではなく、日常生活では互いに関わります。

手続き記憶は、非宣言的記憶の一つです。 ほかにもプライミングや条件づけなどがあり、身につけた動作だけを指すわけではありません。

身近な例で確かめよう

同じ出来事にも、いくつもの記憶が働く

例えば、初めて訪れた場所で新しい言葉を聞き、スマートフォンで調べた場面を考えてみましょう。

窓から見えた景色

一瞬の光や色の情報は、感覚記憶の例として考えられます。

調べるまで覚えていた単語

聞いた言葉をしばらく覚えておくのは、短期記憶の働きです。

その単語の意味

意味や知識として覚えている部分は、意味記憶に関わります。

その日のできごと

誰とどこで話したかという体験は、エピソード記憶に関わります。

スマホの操作の手順

慣れた操作を自然に進められることには、手続き記憶が関わります。

考えながら入力したこと

聞いた言葉を保ち、調べながら使うときには、ワーキングメモリも働きます。

一つの場面に一種類だけではありません。 体験を思い出すとき、言葉の意味や覚えた技能が同時に役立つこともあります。

混同しやすい言葉

ワーキングメモリは短期記憶と同じ?

ワーキングメモリは、情報を一時的に保ちながら、それを使って考えたり作業したりする働きを指します。短期記憶が主に一時的な保持に注目するのに対し、ワーキングメモリは使う・操作する面を含めて説明されます。

短期記憶の例

番号を少しの間覚える

電話番号を聞き、入力するまで覚えておく場面です。

ワーキングメモリの例

暗算の途中を覚える

数字を頭に保ちながら、計算を進める場面です。

学習するときは

両方の働きを使っている

文章を読み、前の内容を保ちながら意味を考えるときも関わります。

両者は研究モデルによって扱いが異なることもあります。違いを詳しく知りたい方は、ワーキングメモリと短期記憶の比較記事を参考にしてください。

学び方にも活かそう

覚えたい内容に合わせて練習を変えてみよう

記憶の種類を知ると、「何を覚えたいのか」に合った練習を選びやすくなります。特別な道具は必要ありません。

01 / 言葉や知識を覚える

意味を説明してみる

新しく覚えた言葉を、自分の言葉で説明できるか確かめてみましょう。

02 / 出来事を振り返る

手がかりを思い出す

「いつ・どこで・誰と」などを振り返り、経験を整理します。

03 / 操作を身につける

実際にくり返してみる

キーの位置や操作手順は、意味を理解したうえで実際に練習しましょう。

忘れやすいときは、別の日にも確かめてみよう。

分散学習や復習スケジュールでは、思い出す機会を学習に組み込む方法を紹介しています。要点をまとめるなら暗記ノートの作り方も参考になります。

記憶の仕組みを知ることは学習計画のヒントになりますが、特定の方法で誰もが同じ成果を得られるわけではありません。

記憶とタイピング

「意味を知る」と「指が動く」は別の学び

タイピングでは、文章の意味を理解することと、指を正確に動かすことの両方が関わります。例えば「ホームポジションの位置がわかる」ことと、「指が迷わずキーを押せる」ことは、同じではありません。

記憶の種類を意識して練習

文章と指の動きを確かめよう

  1. 練習前に、文章の意味を読んでみる
  2. 指の位置を意識して、無理のない速さで入力する
  3. 練習後に、どんな内容だったか思い出す
  4. 指の動きは、少しずつ反復して慣れていく

タイピング練習だけで記憶力全体が高まるという意味ではありません。文章の理解と操作の練習を、それぞれ大切にしましょう。

よくある質問

記憶の種類についてよくある質問

記憶は全部で何種類ありますか?

「何を基準に分けるか」によって種類の数は変わります。時間の観点では感覚記憶・短期記憶・長期記憶、内容の観点では意味記憶・エピソード記憶・手続き記憶などが代表的です。

感覚記憶と短期記憶は何が違いますか?

感覚記憶は見聞きした情報が一瞬残る働きです。短期記憶は、注意を向けた情報などを一時的に保っておく働きです。

意味記憶とエピソード記憶の違いは?

意味記憶は言葉の意味や知識、エピソード記憶は自分が経験した出来事に関する記憶です。ただし実際に思い出すときは、両方が関わることもあります。

タイピングは手続き記憶と関係しますか?

はい。繰り返し練習して指の動きや操作に慣れることには、技能の習得に関わる手続き記憶が関係します。ただし、速くなるためには正確さや適切な練習も大切です。

短期記憶が長期記憶になるまで何秒かかりますか?

一律に決まる秒数はありません。覚える内容、注意の向け方、すでに知っていることなどによって異なります。「一定時間たてば必ず長期記憶になる」というものではありません。

参考資料

参考にした研究・資料

記憶の段階と種類について、次の資料を確認しました。

  1. OpenStax(2020)「8.1 How Memory Functions」『Psychology 2e』。記憶の段階、宣言的記憶と非宣言的記憶についての教科書。
  2. Squire, L. R.(2004)「Memory Systems of the Brain: A Brief History and Current Perspective」Neurobiology of Learning and Memory 82(3), 171–177。複数の記憶システムに関する研究レビュー。
  3. Budson, A. E.(2009)「Understanding Memory Dysfunction」The Neurologist 15(2), 71–79。意味記憶・エピソード記憶・手続き記憶の整理に参照。

図解は、記憶の種類を理解しやすいように整理したものです。実際の脳内の働きをそのまま示したものではありません。

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