はじめに知っておきたいこと
暗記ノートは、思い出せる形に
暗記ノートは、教科書をきれいに書き写すためだけのものではありません。大切な内容を整理し、あとから自分の力で思い出せるようにするためのノートです。
見直して終わりがち
大切なところに色をつけても、答えを見ずに説明できるとは限りません。
覚えたか確かめられる
質問と答えを分けて書けば、ノートを使って自分に問題を出せます。
最初のコツ:1ページを完璧に飾るより、「何を覚えたいか」「どう確かめるか」がわかる形にしましょう。
書き方がひと目でわかる
まずは1ページ、質問と答えを分けてみよう
ノートの左側に質問、右側に答えを書き、ページの下に要点をひとことでまとめます。特別なノートを買わなくても、手持ちのノートに線を引くだけで始められます。
左側:質問を書く
「分散学習とは?」「なぜ役立つ?」のように、後から答えられる問いにします。長い文章より、短い問いのほうが見返しやすくなります。
右側:答えと要点を書く
覚えたい内容を、自分が理解できる言葉で簡潔にまとめます。正確な用語や数字は、教科書などで確認して書きましょう。
コーネル大学でも、ノートに質問欄を設け、答えを隠して思い出す方法が紹介されています。[1]
今日から始める
暗記ノートを作る5つの手順
まずは、いま勉強している内容をひとつ選びましょう。最初からたくさんのページを作る必要はありません。
覚えたいことを絞る
英単語5つ、理科の用語3つ、仕事の手順1つなど、小さな範囲から始めます。ノートに書く前に、意味や考え方を理解しておきましょう。
答えを短くまとめる
教科書を丸写しするのではなく、要点を自分の言葉で整理します。ただし、固有名詞や専門用語など、正確に覚えるべき部分は変えないようにします。
答えに合う質問を作る
覚えたい内容をもとに、自分に問いかける形で質問を作ります。たとえば「分散学習とは?」なら、「時間を空けて何度か学ぶ方法」と答えられる形にします。
答えを隠して確かめる
質問だけを見て、口に出したり紙に書いたりして答えます。思い出せなかったら答えを見て確認し、間違いをそのままにしないようにしましょう。
苦手な問題に印をつける
すぐ答えられなかった質問には小さな印をつけ、別の日にもう一度確認します。できた問題も、ときどき振り返ってみましょう。
書く量に決まった正解はありません。質問を見たときに答えを思い出せるか確かめやすく、後から無理なく見直せる量を目安にしてください。
目的に合わせて選ぼう
使いやすいノートは、ひとつではありません
覚えたい内容に合わせて、書き方を変えても大丈夫です。自分が続けやすい形を選びましょう。
1問1答のノート
質問と短い答えを並べる方法です。意味・読み方・公式など、ひとつずつ確認したい内容に向いています。
質問欄つきのノート
左側に「なぜ?」「どう違う?」という問いを、右側に説明を書きます。自分の言葉で説明する練習に使えます。
間違い直しノート
間違えた問題と、つまずいた理由を簡潔に記録します。正しい答えだけでなく、次に気をつける点も書くと見返しやすくなります。
ノートは紙でもデジタルでも:使う道具だけで学習成果が決まるわけではありません。質問と答えを分けられ、見ずに思い出して確認できる形を大切にしましょう。
根拠となる学習の考え方
読み返すだけでなく、思い出してみる
学んだ内容を見ずに思い出す練習は、記憶に関する研究でも取り上げられています。2013年の研究レビューでは、練習テストと、時間を空けた復習が、幅広い学習条件で有用性の高い方法として評価されています。[2]
ノートを作るだけで、必ず成績が上がるわけではありません。ノートを使って理解と復習を重ねるための工夫として取り入れましょう。
作ったあとが大切
暗記ノートで復習するコツ
ノートを閉じる前に、ひとつだけ質問を選んで答えてみましょう。その小さな確認を、別の日にも繰り返します。
まず質問だけを見る
答えの欄を紙や手で隠して、質問を読みます。答えが見えるまま何度も読み直すのとは違う練習になります。
言葉にして答えてみる
頭の中で考えるだけでも構いませんが、自分の言葉で説明すると、あいまいな部分に気づきやすくなります。
答え合わせをする
正確だったかどうかを確かめます。思い出せなかった質問には印をつけ、必要なら要点を書き直しましょう。
別の日にも確かめる
翌日や数日後など、続けやすい日を選びます。復習の間隔に全員共通の正解はありません。分散学習の基本も参考にしてください。
続けやすくするために
覚えられないときは、ここを見直そう
色分けを増やしすぎない
きれいに仕上げることが負担なら、見出しと重要語句だけを目立たせます。読みやすさを優先しましょう。
質問を使って確かめる
読むだけで終わらず、答えを隠して思い出してみます。答えられない部分が見つかったら、もう一度理解を確かめましょう。
苦手な内容を残す
何でも一冊に書こうとせず、復習したい部分を優先します。教科書を見ればわかる内容まで、すべて書き写さなくて大丈夫です。
ひとつ覚えておきたいこと:複雑な内容を理解するときは、まず説明を聞いたり教科書を読んだりする時間も必要です。「思い出す練習」だけで、理解のすべてを置き換えることはできません。
読む・書く・思い出す
タイピングでも学びを振り返ろう
暗記ノートで整理した言葉を、タイピング教材の文章と結びつけてみるのもひとつの方法です。文章を入力した後に内容を自分の言葉で説明すると、理解した部分を確かめられます。
意味を確かめて入力する
- 文章の意味を確かめて読む
- 落ち着いてタイピングする
- 文章を見ずに、要点を説明してみる
タイピングをするだけで記憶力全般が高まると断定するものではありません。
よくある質問
暗記ノートのよくある質問
暗記ノートのペンは何色がよいですか?
決まった色の組み合わせはありません。大事な語句を見分けられるよう、使う色を少なくしておくと見直しやすくなります。色分けに時間をかけすぎないことも大切です。
教科書を丸写ししてもいいですか?
正確な文章を確認するために書き写すことはあります。ただ、覚えるためのノートなら、問いを作ったり自分の言葉で要点を説明したりする時間も設けましょう。
ノートと単語カード、どちらがよいですか?
短い用語や英単語には単語カード、理由や仕組みを説明したい内容には質問欄つきノートが使いやすい場合があります。学ぶ内容に合わせて選んでください。
紙とデジタル、どちらがいいですか?
どちらにも利点があります。大切なのは、見直しやすく、答えを隠して思い出せることです。使いやすい道具を選び、続けられる方法を探しましょう。
ノートは毎日見直す必要がありますか?
毎日でなければいけないわけではありません。学習内容や目標に合わせて、別の日に確認する機会を設けましょう。分散学習のやり方も参考になります。
参考資料
参考にした研究・資料
ノートの使い方や復習方法について、次の資料を参考にしました。
- コーネル大学 Learning Strategies Center「The Cornell Note-taking System」質問欄・答えの確認・振り返りを組み合わせるノート法。
- Dunlosky, J., et al.(2013)「Improving Students’ Learning With Effective Learning Techniques」Association for Psychological Science. 練習テストと分散学習を含む学習方法のレビュー。
- The Learning Scientists(2016)「Learn how to Study Using… Retrieval Practice」思い出す練習の方法と、答え合わせの大切さを紹介。
- コーネル大学 Learning Strategies Center「The Cornell Note Taking System」ノートの取り方を考えるための学習資料。
紹介した方法は、すべての人に同じ効果を保証するものではありません。内容の理解と、自分に合う復習の仕方を大切にしてください。

