分散学習とは?間隔をあけた復習が役立つ理由と実践方法

分散学習

記憶と学習のコラム

分散学習とは?間隔をあけた復習が役立つ理由と実践方法

学んだことを、別の日にもう一度。
覚えた内容を振り返る工夫を、
身近な例でご紹介します。

分散学習の基本研究による根拠今日からの実践法
まず学び方を知る

最初に知っておきたいこと

分散学習は、学ぶ日を分けて繰り返す方法

分散学習とは、同じ内容を一度にまとめて繰り返すのではなく、時間をあけて何度か学ぶ方法です。学校の勉強だけでなく、資格の勉強や仕事の知識を覚えるときにも取り入れられます。

集中学習(まとめ学習)

同じ日に繰り返す

例:英単語を30分まとめて練習する。その日は覚えられても、後で確認する機会は少なくなりがちです。

分散学習

時間を空けて見直す

例:同じ英単語を今日10分、別の日に10分、さらに後日10分と振り返ります。

ここが大切:分散学習は「勉強時間を減らせばよい」という意味ではありません。同じ内容を復習する機会を、時間を空けて設けることがポイントです。

学び方を見比べよう

「まとめて学ぶ」と「日を分ける」はどう違う?

30分学ぶ場合を例にすると、「1日に30分」と「別の日に10分ずつ」では、復習するタイミングが異なります。

30分を一度にまとめて学ぶ方法と、10分ずつ別の日に学ぶ分散学習を並べた比較図30分を一度にまとめて学ぶ方法と、10分ずつ別の日に学ぶ分散学習を並べた比較図
30分という時間をどう分けるかの比較例です。学習効果の数値を示した図ではありません。

一度に集中する学び方

新しい内容を理解したり、まとまった時間が必要な作業をしたりするときに役立ちます。ただし、その後に何も確認しなければ、忘れることもあります。

間隔を空けて振り返る学び方

以前学んだ内容を、別の日にもう一度思い出して確かめます。長く覚えておきたい知識を確認する機会が増えます。

※ どちらか一方だけを使う必要はありません。最初はまとまった時間で理解し、その後は日を分けて復習する方法もあります。

根拠となる研究

時間を空けた復習は、なぜ役立つの?

分散学習は、学習と記憶に関する多くの研究で調べられてきました。2013年に発表された学習法のレビューでは、分散学習と「答えを思い出して確かめる練習」が、さまざまな学習条件で有用性の高い方法として評価されています。[1]

研究からわかること

一度で終わらせない

時間を空けて学び直すことは、後から思い出す力を確かめる機会になります。

間隔の考え方

目標によって変わる

覚えておきたい期間と、復習の間隔は関係しています。誰にでも同じ予定が最適とは限りません。[2]

学び方の組み合わせ

思い出す練習も行う

ノートを読み直すだけでなく、答えを見る前に自分で思い出す練習も取り入れましょう。[3]

米国教育科学研究所の学習ガイドでも、学習を時間的に分散することが推奨されています。[4] ただし、学ぶ内容や本人の状態によって、取り入れやすい方法は異なります。

無理なく続けるために

分散学習で意識したい3つのこと

01 / 繰り返し方

覚えたつもりで終わらせない

読み返すと簡単に感じても、何も見ずに説明できるとは限りません。短い問題を自分に出してみると、覚えている部分がわかります。

02 / 日程の決め方

短い復習の予定を入れる

毎回長く学び直す必要はありません。まずは数分でも構いません。無理なく取り組める時間を予定に入れてみましょう。

03 / 見直す部分

苦手なところを優先する

思い出せなかった言葉や手順には印をつけ、次回はそこを先に確かめます。すべてを毎回同じ時間だけ繰り返す必要はありません。

分散学習は、苦しい暗記を我慢する方法ではありません。

少しずつ振り返ることで、覚えていることと、もう一度確かめたいことが見えてきます。

まずは今日から

分散学習の始め方|4つのステップ

復習の予定を細かく作り込まなくても始められます。今学んでいる内容から、ひとつ選んで試してみましょう。

分散学習の実践手順を、小さく区切る、日を空ける、思い出す、苦手を見直すの4つで整理した図分散学習の実践手順を、小さく区切る、日を空ける、思い出す、苦手を見直すの4つで整理した図
日を分けて見直し、思い出せなかったところを次につなげます。手順を決める際の一例です。
01

まずは学ぶ内容をひとつ決める

英単語10個、資格試験の用語5つ、仕事の手順1つなど、あとから復習しやすい量にします。最初に意味や手順を理解しておくことも大切です。

02

別の日に確認する予定を入れる

今日学んだら、明日や数日後にもう一度確認するなど、予定表に記録します。目標日や覚えやすさに合わせて間隔は調整しましょう。

03

答えを見る前に思い出す

用語を隠して意味を言う、例文を見ずに要点を説明するなど、思い出せるか試します。間違えたら答えを確認すれば大丈夫です。

04

苦手な内容を次回に持ち越す

忘れやすい部分をメモし、次の復習で優先して確認します。できた部分とできなかった部分を分けると、学ぶ内容を絞りやすくなります。

復習日をどう決めたらよい?

たとえば「今日・数日後・さらに数日後」と予定を入れるところから始められます。復習の間隔に、誰にでも当てはまる正解はありません。実際の復習スケジュールの作り方は、関連記事でも詳しく紹介します。

暮らしに合わせて取り入れる

勉強・仕事・タイピングでの使い方

01 / 学校の勉強

英単語を少しずつ見直す

初日に単語の意味を確認し、別の日に日本語から英語を思い出します。忘れた単語はもう一度確認して、次回に持ち越します。

02 / 仕事・資格

新しい手順を繰り返し確かめる

研修で教わった内容をその日のうちに整理し、数日後に手順を自分の言葉で説明できるか確かめます。実務では手順書も確認してください。

03 / タイピング

同じ文章を、別の日にも振り返る

初日は意味を考えながら入力し、別の日には文章を見ずに内容を思い出してみましょう。入力速度だけでなく、学んだことを自分の言葉で説明できるかも確かめてみてください。

タイピングについて:繰り返し入力すること自体が、記憶力全般を高めると証明されたわけではありません。ここでは、文章を理解し、別の日に思い出す学習を組み合わせる例として紹介しています。

知ったことを、今日の練習へ

タイピングで学ぶ時間も、少しずつ重ねて

タイピング練習をするなら、文章の意味を考えながら入力し、別の日にもう一度その内容を振り返ってみましょう。記憶を扱った専用教材からも始められます。

取り組み方の一例

読む・入力する・後日思い出す

  1. 意味を確かめながら、文章を読む
  2. 焦らず正確にタイピングする
  3. 別の日に、内容を思い出してみる

思い出せなかった部分は、もう一度文章を読んで確かめてください。

よくある質問

分散学習について、気になること

分散学習と集中学習は、どちらがよいですか?

新しい内容をまとめて理解する時間も大切です。長く覚えておきたい内容には、別の日に復習する機会を設ける方法が役立つと考えられています。目的に応じて組み合わせましょう。

復習は何日おきにすればいいですか?

誰にでも当てはまる決まった日数はありません。覚えたい期間や学習内容によっても変わるため、まずは別の日に確認する予定を入れ、思い出せるかどうかを見ながら調整しましょう。

分散学習は、短い時間でもできますか?

はい。5分や10分など、取り組みやすい長さでも学び直す機会を設けられます。ただし、時間が短ければ必ず効果が高まるわけではありません。必要な理解の時間も確保しましょう。

読み直すだけでも分散学習になりますか?

日を分けて読み直すことも学習を分散する方法のひとつです。さらに、答えを隠して説明するなど、思い出す練習を組み合わせると、どこまで覚えているかを確かめやすくなります。

タイピングを繰り返せば暗記できますか?

文字を入力することと、その内容を覚えて自力で思い出すことは同じではありません。意味を理解し、入力後や別の日に自分で説明できるか試すことをおすすめします。

参考資料

参考にした研究・資料

本文で紹介した学び方の根拠を詳しく知りたい方は、以下の資料をご覧ください。

  1. Dunlosky, J., et al.(2013)「Improving Students’ Learning With Effective Learning Techniques」Association for Psychological Science.
  2. Cepeda, N. J., et al.(2006)「Distributed practice in verbal recall tasks: A review and quantitative synthesis」Psychological Bulletin, 132(3), 354–380.
  3. Karpicke, J. D., & Roediger, H. L.(2008)「The critical importance of retrieval for learning」Science, 319(5865), 966–968.
  4. 米国教育科学研究所(IES)(2007)「Organizing Instruction and Study to Improve Student Learning」(What Works Clearinghouse)

学習の進み方は人によって異なります。自分に合った復習の間隔を見つけながら、無理なく続けてみましょう。

続けられる学びを、自分のペースで

一度で覚えようとしなくても、
少しずつ、また学べばいい。

思い出す時間を、毎日の中に少しずつ。分散学習の考え方を、自分のペースで取り入れてみましょう。

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