最初に知っておきたいこと
分散学習は、学ぶ日を分けて繰り返す方法
分散学習とは、同じ内容を一度にまとめて繰り返すのではなく、時間をあけて何度か学ぶ方法です。学校の勉強だけでなく、資格の勉強や仕事の知識を覚えるときにも取り入れられます。
同じ日に繰り返す
例:英単語を30分まとめて練習する。その日は覚えられても、後で確認する機会は少なくなりがちです。
時間を空けて見直す
例:同じ英単語を今日10分、別の日に10分、さらに後日10分と振り返ります。
ここが大切:分散学習は「勉強時間を減らせばよい」という意味ではありません。同じ内容を復習する機会を、時間を空けて設けることがポイントです。
学び方を見比べよう
「まとめて学ぶ」と「日を分ける」はどう違う?
30分学ぶ場合を例にすると、「1日に30分」と「別の日に10分ずつ」では、復習するタイミングが異なります。


一度に集中する学び方
新しい内容を理解したり、まとまった時間が必要な作業をしたりするときに役立ちます。ただし、その後に何も確認しなければ、忘れることもあります。
間隔を空けて振り返る学び方
以前学んだ内容を、別の日にもう一度思い出して確かめます。長く覚えておきたい知識を確認する機会が増えます。
※ どちらか一方だけを使う必要はありません。最初はまとまった時間で理解し、その後は日を分けて復習する方法もあります。
無理なく続けるために
分散学習で意識したい3つのこと
覚えたつもりで終わらせない
読み返すと簡単に感じても、何も見ずに説明できるとは限りません。短い問題を自分に出してみると、覚えている部分がわかります。
短い復習の予定を入れる
毎回長く学び直す必要はありません。まずは数分でも構いません。無理なく取り組める時間を予定に入れてみましょう。
苦手なところを優先する
思い出せなかった言葉や手順には印をつけ、次回はそこを先に確かめます。すべてを毎回同じ時間だけ繰り返す必要はありません。
少しずつ振り返ることで、覚えていることと、もう一度確かめたいことが見えてきます。
まずは今日から
分散学習の始め方|4つのステップ
復習の予定を細かく作り込まなくても始められます。今学んでいる内容から、ひとつ選んで試してみましょう。


まずは学ぶ内容をひとつ決める
英単語10個、資格試験の用語5つ、仕事の手順1つなど、あとから復習しやすい量にします。最初に意味や手順を理解しておくことも大切です。
別の日に確認する予定を入れる
今日学んだら、明日や数日後にもう一度確認するなど、予定表に記録します。目標日や覚えやすさに合わせて間隔は調整しましょう。
答えを見る前に思い出す
用語を隠して意味を言う、例文を見ずに要点を説明するなど、思い出せるか試します。間違えたら答えを確認すれば大丈夫です。
苦手な内容を次回に持ち越す
忘れやすい部分をメモし、次の復習で優先して確認します。できた部分とできなかった部分を分けると、学ぶ内容を絞りやすくなります。
たとえば「今日・数日後・さらに数日後」と予定を入れるところから始められます。復習の間隔に、誰にでも当てはまる正解はありません。実際の復習スケジュールの作り方は、関連記事でも詳しく紹介します。
暮らしに合わせて取り入れる
勉強・仕事・タイピングでの使い方
英単語を少しずつ見直す
初日に単語の意味を確認し、別の日に日本語から英語を思い出します。忘れた単語はもう一度確認して、次回に持ち越します。
新しい手順を繰り返し確かめる
研修で教わった内容をその日のうちに整理し、数日後に手順を自分の言葉で説明できるか確かめます。実務では手順書も確認してください。
同じ文章を、別の日にも振り返る
初日は意味を考えながら入力し、別の日には文章を見ずに内容を思い出してみましょう。入力速度だけでなく、学んだことを自分の言葉で説明できるかも確かめてみてください。
タイピングについて:繰り返し入力すること自体が、記憶力全般を高めると証明されたわけではありません。ここでは、文章を理解し、別の日に思い出す学習を組み合わせる例として紹介しています。
知ったことを、今日の練習へ
タイピングで学ぶ時間も、少しずつ重ねて
タイピング練習をするなら、文章の意味を考えながら入力し、別の日にもう一度その内容を振り返ってみましょう。記憶を扱った専用教材からも始められます。
読む・入力する・後日思い出す
- 意味を確かめながら、文章を読む
- 焦らず正確にタイピングする
- 別の日に、内容を思い出してみる
思い出せなかった部分は、もう一度文章を読んで確かめてください。
よくある質問
分散学習について、気になること
分散学習と集中学習は、どちらがよいですか?
新しい内容をまとめて理解する時間も大切です。長く覚えておきたい内容には、別の日に復習する機会を設ける方法が役立つと考えられています。目的に応じて組み合わせましょう。
復習は何日おきにすればいいですか?
誰にでも当てはまる決まった日数はありません。覚えたい期間や学習内容によっても変わるため、まずは別の日に確認する予定を入れ、思い出せるかどうかを見ながら調整しましょう。
分散学習は、短い時間でもできますか?
はい。5分や10分など、取り組みやすい長さでも学び直す機会を設けられます。ただし、時間が短ければ必ず効果が高まるわけではありません。必要な理解の時間も確保しましょう。
読み直すだけでも分散学習になりますか?
日を分けて読み直すことも学習を分散する方法のひとつです。さらに、答えを隠して説明するなど、思い出す練習を組み合わせると、どこまで覚えているかを確かめやすくなります。
タイピングを繰り返せば暗記できますか?
文字を入力することと、その内容を覚えて自力で思い出すことは同じではありません。意味を理解し、入力後や別の日に自分で説明できるか試すことをおすすめします。
参考資料
参考にした研究・資料
本文で紹介した学び方の根拠を詳しく知りたい方は、以下の資料をご覧ください。
- Dunlosky, J., et al.(2013)「Improving Students’ Learning With Effective Learning Techniques」Association for Psychological Science.
- Cepeda, N. J., et al.(2006)「Distributed practice in verbal recall tasks: A review and quantitative synthesis」Psychological Bulletin, 132(3), 354–380.
- Karpicke, J. D., & Roediger, H. L.(2008)「The critical importance of retrieval for learning」Science, 319(5865), 966–968.
- 米国教育科学研究所(IES)(2007)「Organizing Instruction and Study to Improve Student Learning」(What Works Clearinghouse)
学習の進み方は人によって異なります。自分に合った復習の間隔を見つけながら、無理なく続けてみましょう。

