記憶と学習のコラム
記憶力がいい人の特徴とは?覚え方と学習習慣を考える
「あの人は、どうしてよく覚えているんだろう?」
記憶力の違いに見えることの中には、
覚え方や振り返り方の工夫が隠れている場合があります。
最初に知っておきたいこと
記憶力がいい人は、何が違うのでしょうか?
「記憶力がいい人」に、誰もが当てはまる共通の特徴があるわけではありません。覚えやすい内容や経験、関心、体調などは人によって違います。ただ、覚えるときの工夫や、思い出す機会のつくり方には、誰でも参考にできる方法があります。
たとえば、同じ言葉を覚える場面でも、何度も眺める人がいる一方で、「自分の言葉で説明できるかな?」と試す人もいます。後者のような思い出す練習は、学習した内容を後から思い出すために役立つことが研究でも示されています。[1]
覚えるまでの行動
意味を確かめる、知っていることにつなげる、思い出してみる。覚える前後の小さな工夫に目を向けます。
昨日の自分との違い
人と暗記の速さを競うより、前回より説明できたことや、次の復習で思い出せたことを確かめましょう。
真似しやすい学び方を探す
覚えやすくするために、取り入れたい4つの工夫
ここで紹介するのは、記憶力がいい人全員に当てはまる性格や能力の特徴ではありません。学んだことを覚えておくために役立つ、具体的な方法です。
丸暗記の前に「なぜ?」を考える
言葉だけを繰り返すのではなく、その意味や身近な例を確かめます。理由を自分で説明する方法は、学習の内容によって役立つ場合があります。[3]
例:「分散学習」を覚えるなら、1日で詰め込む勉強との違いを考えてみる。
読んだ内容を短く説明する
「つまりどういうこと?」と問いかけ、わかったことを一言にまとめます。説明できない部分があれば、そこだけ見直します。
例:「ワーキングメモリは、覚えながら考える働き」と言い換えてみる。
答えを見る前に、記憶を探す
教材を閉じて、さっき読んだ内容を思い出します。答え合わせをして、違っていたところを確かめるのが大切です。[1]
例:覚えた言葉の意味を、説明文を見ずに答えてみる。
一度で終わらず、後日にもう一度
学習を一回にまとめず、間隔を空けて確認します。いつ復習するかは、覚えたい期間や内容に合わせて調整します。[2]
例:今日覚えた内容を、明日や数日後に短く振り返る。
「意味を確かめる → 自分の言葉にする → 思い出す → 日を変えて振り返る」。全部を一度に始める必要はありません。取り入れやすい方法を一つ選んでみましょう。
具体例で比べてみよう
同じ言葉でも、覚え方を少し変えられる
「分散学習」という言葉を例に、繰り返し読む場合と、意味を自分の言葉で説明する場合を比べてみましょう。
読むだけで終わる
同じ言葉を繰り返し読んでも、後から意味を説明できるとは限りません。
自分で説明してみる
「勉強する日を分けて、そのたびに復習する方法」と言い換え、翌日もう一度思い出します。
ここで大切なこと:まず読んで意味を理解することが大切です。そのうえで、答えを見ずに思い出す練習を加えると、後から思い出す助けになることが研究で示されています。[1]
続けることを難しくしない
記憶のために、毎日の習慣を少し整えよう
勉強時間を大きく増やさなくても、覚えた内容を確かめる機会はつくれます。忙しい日には、次のような小さな行動から始めてみましょう。
勉強の終わりに一言で振り返る
本を閉じたあと、「今日、新しくわかったことは?」と自分に聞いてみます。言葉にできなければ、必要な箇所だけ確認します。
思い出せなかったことを一つ残す
間違いを全部書き写す必要はありません。次回確認したい言葉や質問を一つメモしておきましょう。
次に確かめる日を決める
「明日もう一度」など、無理のない予定を入れます。間隔の空け方を詳しく知りたい方は、分散学習の記事も参考にしてください。
休息を後回しにしすぎない
疲れているときには、勉強を続けることだけにこだわらず、休む時間も確保しましょう。無理なく続けられるペースを大切にしてください。
続けやすい形にするなら
毎回の学習を長くするより、「終わりに一言」「次回にもう一度」の二つを習慣にしてみましょう。
今日の学びに当てはめる
勉強でも仕事でも、思い出す機会をつくろう
覚えたことを自分の言葉で確かめる練習は、学校の勉強だけでなく、日常の振り返りにも取り入れられます。
新しい言葉を覚えるとき
- 意味を読み、例を一つ考える。
- 説明を隠して、自分の言葉で答える。
- 答えを見て、違っていた部分を直す。
- 次に勉強するとき、もう一度確かめる。
「読めた」で終わらず、「自分で説明できたか」を目安にします。
会議の内容を振り返るとき
- 決まったことを短くメモする。
- 資料を閉じて、要点を一つ言ってみる。
- メモと照らして、抜けている点を確認する。
- 次の作業前に、決定事項を見直す。
重要な内容は記憶だけに頼らず、記録も残して確認しましょう。
覚えた量だけでなく、必要なときに思い出せたかを見てみましょう。できなかったところは、次に確認する目印になります。
Typing Coachでできること
タイピングでも、言葉の意味を確かめてみよう
タイピングは、表示された文字を正確に入力する練習です。短文教材では、文字の形だけでなく、文章の意味にも目を向けてみましょう。
「小さな工夫を、続けてみよう。」
たとえば、この文章を読んで「どんな工夫を続けたいかな?」と考えてから入力するイメージです。実際のTyping Coachでは、教材画面に表示される文章を使って練習します。
まずは正確さを大切に
短い文章を読んで、意味をつかんでから入力してみましょう。慣れてきたら、入力速度や正確率の変化にも目を向けられます。
練習のポイント:文字入力の正確さと、文章の意味を考えることを大切にしましょう。覚えた内容を確かめたいときは、学習したことを自分で思い出す練習も取り入れてみてください。
気にしすぎなくても大丈夫
記憶力について、誤解しやすいこと
理解するまで時間が必要なことも
知らない分野の言葉は、知っている言葉より覚えにくく感じる場合があります。まず意味や背景を確かめてみましょう。
思い出せない部分を見直す手がかりに
一回で覚えきろうとせず、答え合わせをして、後からもう一度確かめてみましょう。覚える速さだけで自分を評価する必要はありません。
研究では、思い出す練習や間隔を空けた復習が、多くの学習場面で役立つと報告されています。一方、その方法だけで誰もが同じように記憶力を伸ばせるわけではありません。[3]
よくある質問
記憶力がいい人についてよくある疑問
記憶力がいい人には共通する性格がありますか?
一つの性格ですべて説明することはできません。覚える内容への関心、知識や経験、学習方法など、さまざまな条件が関係します。性格で決めつけるより、自分に合う工夫を見つけることが大切です。
覚えたことを忘れやすい人にも役立つ方法はありますか?
学んだ内容を隠して思い出し、答え合わせをする方法や、日を変えて復習する方法があります。難しいと感じた場合は、覚える量を減らして取り組んでみましょう。
記憶力を鍛えるには、長時間の勉強が必要ですか?
必ずしも長時間である必要はありません。覚えたい内容を区切り、思い出して答え合わせをする時間をつくるなど、無理なく続けられる方法を試してみましょう。
覚えるのが苦手な子どもにも使えますか?
短い言葉を使って説明する、絵や具体例と結びつける、少し間を空けて確かめるなど、学習内容に合わせて工夫できます。わからないまま繰り返すより、意味を確認するところから始めてみましょう。
タイピングの練習は記憶力の向上につながりますか?
タイピングでは文字入力の正確さや速さを練習できますが、記憶力全般の向上を保証できるものではありません。文章の意味を考えながら入力するなど、自分の学習目的に合わせて活用してください。
研究・参考資料
この記事で参考にした資料
思い出す練習、間隔を空けた復習、学習方法については、以下の研究レビューを参考にしています。紹介した方法は、覚えたい内容や学習の条件によって結果が異なります。
- McDermott, K. B. (2021). Practicing Retrieval Facilitates Learning. Annual Review of Psychology.学習した内容を自分で思い出す練習について、研究結果と考え方をまとめたレビュー。
- Cepeda, N. J., et al. (2006). Distributed practice in verbal recall tasks: A review and quantitative synthesis. Psychological Bulletin.時間を空けて学ぶ方法について、複数の実験をまとめたメタ分析。
- Dunlosky, J., et al. (2013). Improving Students’ Learning With Effective Learning Techniques. Psychological Science in the Public Interest.10種類の学習方法を比較し、効果の根拠や適用条件を整理した研究レビュー。
覚えやすい方法は、学ぶ内容や人によっても異なります。ご自身の学習に合う工夫を、一つずつ試してみてください。

